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【考察・レビュー】太陽の中の生活/THE BACK HORN【音楽】

 

太陽の中の生活(初回限定盤)(DVD付)

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first write 2017/3/18~2017/3/26

 ■目次

 

■内容

【まえがき】

 唐突だが、私はTHE BACK HORNが好きである。

 なのでこうやって気まぐれに考察っぽいレビューをしていこうと思う。

 

 THE BACK HORNにはまったきっかけは友人が『美しい名前』をのベースを弾いていて「面白い曲だなあ」と思ったことだった。そして、BESTから入ってじわじわと好きな曲が増えていっている。個人的にこの人たちの曲は癖が強すぎて、一度目はそうでもないが、時間がたってから聞くとすごくどハマりする。

(だから好きになって7年くらいたってるけど、まだ良さがあんまりよくわかっていない曲が2割位ある)

 

 で、そんなこんなで最近マイブームが到来したのが今回紹介する『太陽の中の生活』だ。

 紹介すると言っていていきなりあれだが、現時点で好きな曲だけ話す。前述したように、まだよくわかっていない曲もあるのだ。

 

【アルバムの音作り】

 早速、この『太陽の中の生活』について述べる。

 音作り的な話をすると、他のアルバムに比べリズム隊(ベース、ドラム)の音が小さく、相対的にギターとボーカルの音が大きく聞こえ、結果「なんだか軽く」聞える。

 これはベースがゴリゴリなTHE BACK HORNとしては結構異例なことで、現に『太陽の中の生活』から2017年現在までのアルバムを見てもベースが聞こえづらいと感じるのはこのアルバムだけであると思う。

 

 まあ上記のような事から、「音作りは酷い*1」と思う。あんまりファンの中でも好きな人を見かけないのはここが大きいんじゃないかなあと思ってる。

 でも、例えば、LIVE DAM(カラオケ)で『ホワイトノイズ』を入れてみればわかるかもしれないが、音作りによってはこの曲たちは化ける気がするのだが。

 

 と、いきなり酷評のようになっているが、私としてはこれによって『証明』とか『浮世の波』がいい意味で浮いてきているので結果オーライであると思う。

 

【アルバム全体/書く前の自分の思想】 

 アルバム全体としては『初めての呼吸で』で言っているような「絶望して、それでも生きていくしかない」というような諦観と一種の開き直りという雰囲気が漂っているように感じる。

 それと照らし合わせると、なんとなくだが、タイトルの『太陽の中の生活』の「太陽」は社会の事であり、そしてその太陽のようなまぶしさの社会の中で生きていくという事をテーマにしているのではないかと思われる。そして、このアルバムの大体の作詞を担当している菅波栄純さんのテーマに対する答えは『ファイティングマンブルース』や『初めての呼吸で』の歌詞、そして、アルバムジャケットの右側で泣いている人であると思う。

 ”皆がまぶしく生きている世の中で自分1人輝けない”

 しかし、私はそれは別に誰もが抱えている感情であり、輝いている何者かは輝いているように見せているだけではないかと思う。

 

 曲のレビューに移る。 

 

【1曲ごとの考察・レビュー】

アポトーシス』 菅波栄純

 ”震える君は弱い陽炎”

 ”涙が溢れた 意味も持たずに”

 これらの歌詞のように、歌詞が綺麗で「言葉に出したくなる」ような曲。

 

 「アポトーシスってなんぞや」と思って調べたら生物学的には「プログラムされた細胞の死」。ギリシャ語の方もあるけど、『カオスダイバー』で”太陽に殺されそうな日も細胞は生まれ変わってゆく”という歌詞もあるし前者かな?

アポトーシス - Wikipedia

 一瞬、「社会から見て自分という細胞は死ぬようにプログラムされている」事を歌っているのか?、と思ったが、それは以下を見る限りちょっと合わない。

 ”そして今動き出す 季節に別れ告げて”

 ”そして今この胸に夢見る力をくれ”

これらを見るにむしろ、アポトーシスが起こるとされている理由である「その主をより良い状態に保っていくため」に注目して「より良い状態となるためには、自分を許して、今を生きるために活動しようぜ」という事がテーマなんじゃないかなあと考える。

 

 ただ、ちょっと理解しきれていないのは最後の一節。これの意味次第では前述のすべてがひっくり返るような気がしている。

 ”カンジョウ・ウイルス・セカイ・アポトーシス…”

 

『証明』 菅波栄純

 隠れた名曲。

 Vo.山田さんの語尾のビブラートがとても心地よいし、イントロのギターは、よくギタリストが例える「ギターが泣く」という表現ってこんなのかな、と思ったりするほど情緒豊かで好き。間奏のギターも。

 個人的に、このころの栄純は、世界のすごい人たちに比べるとギターの技巧的にはそうでもないけれど、フレーズとかそういう系の構成はすごく上手くて好き。

 (今はギターの技術も上手くなってきた)

 

 ”未完成な魂よ 描き続けてゆけ ステージのピカソ

 とかを見る限り『アポトーシス』の流れを汲んでいると思う。「生きることの正しさとは何かという葛藤」がテーマかな。

 

『ホワイトノイズ』 松田晋二

 ジャズとか、オーセンティックバーとかそんな感じのしっとりとした雰囲気のイメージの曲。いわゆる、おしゃれ曲。ベースとドラム、山田さんのコーラスが染み渡ってとっても好き。

 テーマも「燃え上がった後の消えるのを待つ運命の恋」といった感じで、おしゃれさといい松田さんっぽい。特にこの最後の2文の山田さんの歌い上げ方が魅力的。

 ”悲しみが今消える”

 ”雪のようにただ消える”

 

『世界の果てで』 菅波栄純

 『アポトーシス』から続く「悩み、負の感情」を断ち切るかのように、悩みから解放された後の諦観にも似た爽やかさがあふれる曲。次の『天気予報』から闇堕ちしていくことも考えると、アルバム的には前半部分の「ひとつの答え」ポジションの曲と思われる。

 これまで(初期から)の栄純にしては珍しいラブソングとも受け取れる。ただ私は、この「ラブ」は「誰か特定個人への恋愛」的なものでなく「人間という生命が行う特定行動への愛」であるように感じる。

 ”恥じらうあなたの好きという言葉が

 ”美しいことを知ってほしい”

 ”抱きしめる 世界の果てで”

ほんとこの3文が狂おしいほどに好き。

 当時『カオスダイバー』と並んでこの曲はファンから不評だったらしいけど、あの毒々しい栄純の時代があったからこそ、この曲の歌詞に重みが出るんだと思うんだよね。私はすっごい好きだよ、この曲。

 

 余談だが、個人的にグサッとくる歌詞はこれ。

 ”誰かの答えはなにかが足りない”

 うーん。これについては一度考えなきゃなあ。

 

『天気予報』 菅波栄純

 初めて聞いたときの私↓

 ( ゚д゚)ポカーン

 

 いわゆるちょっとした「いろもの」曲。なんと”ボーカルとドラムがチェンジ”している曲。

 つまり「Drums:山田将司、Main Vocal(語り):松田晋二」

 でも「いろもの」という割には結構いい曲。

  ・松田さんのなまりが強い語り。

  ・栄純による、まるで映画の一場面を想起させられるような歌詞。

  ・フレーズはループしているので覚えやすい。

  ・最後にメンバー全員の合唱がある。

 

 個人的にこれは最強だと思うポイントなのは歌詞で、本当に「声に出したい文章」(ちょっと厨二的なのもいい)

 "顔を上げて歩いてゆくには 太陽はまぶしすぎる"

 ”下を向いて歩いてゆくには 人生は美しすぎる”

 全編こんな感じ。これにいいなって思った人のなかで、文字読むのが好きな人はちょっと歌詞全文を読んでほしい。これがどストライクな人は多分私と趣味あう。

 http://j-lyric.net/cd/zB001BOBZBW/t125703.html

 (J-Lyric.net様のやつ。歌詞掲載はJASRACから許可得てるとの事)

 

 アルバム的には転換曲。べた褒めしてるけど、内容的には『世界の果てで』の明るさが何だったのかと言わんばかりに暗い。そんでもってこの曲以降からさらに暗い曲になっていく。

 

 ちなみにカラオケには入っているので、ヒトカラの時はぜひ歌ってみて。楽しいよ。

 

『ファイティングマンブルース』 菅波栄純

 もう本当に恐ろしく心がきつくなる曲。だから”理解した上で”きらいな曲。

 THE BACK HORNに救いが無い曲というのは時たまあるのだが、大体がファンタジー的要素も含んでいるので「ここまで現実的に救いがない」という意味では珍しい。

 特にこの歌詞の対比に対して恐怖を感じる。

 ”ああ 今夜も優しいエンジェル”

 ”毒入りのお味噌汁”

 

 私なりの解釈では、「世間からも家族からも疎外されている生活、そんな”どうしようもない日常をどうしようもなく受け止めていく”しかできないことを嘆くけど、自分にそれを変えるほどの意志はなくって、だから何とかして生きていく」事を描いた曲。

 最初に書いた「アルバムタイトル『太陽の中の生活』の私のイメージ」は大体この曲から来てる。

 

 恐らく『初めての呼吸で』と並んでこのアルバムの核となるような曲ではあると思う。

 

 改めて一言で『太陽の中の生活』を表すとこうなるだろう。

「”太陽”という眩しく尊い世界は、ちっぽけな自分が生きるにはつらかった」

 

ブラックホールバースデイ(Album Version)』 菅波栄純 

 シングル曲の割に上手くアルバムに溶け込めていると思う。例えば、

 ”ブラックホールバースデイ 闇のバースデイ 黒い太陽 蜷局を巻く”

 "微笑みながら助けを求めている 誰だって”

 

 この一節は『ファイティングマンブルース』で描いた「どうしようもなく生きている個人とその黒い心」のことを指していると思っていて、そんな人たちに

 

 ”手を伸ばせ一人消えてしまう その前に”

 ”声を聞かせて 歌を奏でておくれ”

 ”罪や罰や傷や嘘を抱いて それでも夢見て”

 

 と『世界の果てで』で見せたような「人の好きな生き方を許容する」励ましをしている。

 

 まとめると、『ファイティングマンブルース』のように沈んでいる人々に「叫べ、燃え尽きていくような強烈な生き方をしようぜ」と見たことのない世界(創作)へ連れ出していこうとしてくような、そんなやや強引で危ういけどヒロイックな感じの歌と思ってる。

 

 音楽的な話。

 個人的にBEST版にはないイントロ部分が好き。だがやっぱり少しベースあたりが軽いように感じるのでBEST版の音質あたりでもこの曲を聴けたらいいかもと思っている。*2

  あと多分ライブとかでこの曲聞いた人はわかるかもしれないが、イントロのギターがノイズっぽい音を出しているところは譜面には”Noise with feeling(アドリブで)”と書かれてる。栄純の独壇場が決まった瞬間である。

(まあ、栄純はちゃんとしたところも常にアドリブになる可能性を秘めてるけど)

 

 で、この曲、構成が好き。1番→2番→大サビとなっていて、盛り上がる盛り上がる。何というか暗い情熱というか。ちょっと意味が違うか。

 とにかくすごく盛り上がる。

(のどがつぶれちゃう前の山田さんのこの曲の迫力はすごかった。なんかオーラが見えたよね。若さの獰猛さというかなんというか、色々な意味で畏怖した)

 

『浮世の波』 岡峰光舟

 隠れた名曲。

 女将*3担当とあってか少し歴史的雰囲気が漂っていて、そして何よりベースが生き生きしてる。注意して聞かないとあんまり目立たないけど。

 女将の作詞は結構直接的な歌詞で、読めば大体の意味が分かると思う。多分一番伝えたいのも大サビからの最後のサビだと思う。

 ”たとえ世界が僕を忘れ 心この身消えたとしても”

 ”願う想いはいつかきっと届くと信じた”

 ”続く浮世の波を越えて 歩くよ”

 

 内容的には、女将版の『太陽の中の生活』のイメージ。私の解釈では「どうにもならない世の中だけど、それは今に始まったことではなく、海の波のように繰り返し続けられている事。その中で大事なことは、大切な人たちに自分の想いを届けることだ。だから届けるし、届けてられていることを信じてる」

 

(余談だけど、”泡沫の夢”とか、”浮世の波”とか言葉がかっこいい。

 ”一人一人の闇にそっと小さな口笛”はなんとなくブギーポップを思い出した。栄純の過去ツイでブギーポップ絡みっぽいのがあったし、多分そうかなと勝手に思ってる)

 

『初めての呼吸で(Album Mix Version)』 菅波栄純

 これのシングルが出たとき、山田さんと栄純が引き叫びをしていたらしい。それは裏を返すと、そこまでして伝えたい思いがあったのだと思う。(商業主義という一面もあったかもだけど)

 そこまでしている曲なので間違いなくこのアルバムの核となる曲であると思う。

 歌詞も、

 ”疲れ果てて泣くだけ泣いて”

 ”「死んでやる」と飯を炊きながら日々を越える”

と『ファイティングマンブルース』で見せた『太陽の中の生活』像を見せていたり、

 ”夢を抱いて暮らしを背負って”

 ”生まれ消えてゆく洗濯機の銀河の中”

と 『浮世の波』で見せた宇宙的規模での死生観を見せていたりする。

 

 ポイントとなる気がしているのは、最後のところの歌詞。

 ”夢を抱いて日々を越えて”

 ”闇を抱いて日々を越えて”

 日々を越えるときに抱くものは「夢」と「闇」。

 そして”日々を越えて”という部分を繰り返している。

 恐らく一番伝えたいのは”生きよう!”ってことで、まとめると「闇(暮らし)も夢も抱いて”生きよう!”」って事かなと解釈している。

  

 ここでこの曲にはあと1つ考えるべきところがあると思っている。

 それはタイトルにもなっている『初めての呼吸で』。

 歌詞を見る限り「初めての呼吸」というものに何か神聖なものを感じており「初めての呼吸で」行う事に対して賛美している。

 ”歌ったメロディーを聴かせてくれ”

 ”好きだと言えたらいいのに”

 ”命を名付けから綺麗だろう”

 

 初めて呼吸を行うのはいつだろう。私が咄嗟に出てきたのは”生まれたばかり”という言葉であった。”生まれたばかり”というと、赤ちゃんという連想ができる。しかし、個人的に赤ちゃんがする行動としては疑問が残るし、ちょっと想像もつかない。

 で、ここでふと思ったのが、初めてというのは「夢を持った時点」に関して言っているのではないかという事。

 「夢を持った時の初めての純粋な気持ち。今は闇に触れて変容してしまったけど、その時の気持ちでの歌を聴いてみたい、その時の気持ちで好きと言えたら最高だろうなあ」

 私にはそんな感じがした。

 

(そうすると”誰もが理解した”という事は夢について実現しようとしてその壁に挫折した、かな?)

 

 二つをまとめると、(自分の語彙力ではちょっと陳腐な表現になっちゃうけど)「闇もあるけど夢もあったはず。夢を思い出して生きていこう!」 という事かなと思っている。

 

【アルバム全体/書いた後の自分の思想】 

・『太陽の中の生活』はどういうものかだけでなく、「その中でどういう風に生きていくか」もテーマなのかなーと思った。

 そして、その答えはやっぱり「生きよう!」が一番先に来ていて、そして、その「生きよう!」を補強するためのこのアルバムでの理由づけみたいなものが「闇も許容して、初めて夢を抱いた時を思い出して」かなあと。

 

・闇、世知辛いねえ。

 

【あとがき】

 ・見返してみたが、もう妄想全開である。それだけこの作品たちとアルバムが好きだって変換しておいてくださいませ。

・これかいていて全曲通して聴いていたら『カオスダイバー』と『ゆりかご』、”いいじゃん!”ってなった。気が向いたら追記するかも。『カオスダイバー』って音大きいからビックリするよね。それで聴いてなかったのかな。

 

*1:『甦る陽』の元の方並

*2:何がアルバムバージョン?と考えたとき、BEST板よりサビの解放感というのがある気がするからわざとそうしてるのかもしれないけど

*3:岡峰さんのファンでの愛称の1つ。個人的に好きなので文章ではこれを使う。