おとなみ

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【考察・レビュー】心臓オーケストラ/THE BACK HORN【音楽】

 【ダイレクトマーケティング

CD版

心臓オーケストラ

心臓オーケストラ

 

電子データ版 

心臓オーケストラ

心臓オーケストラ

 

CDは高いし、なんかちょっと怪しい匂いがするから、よほどのコレクターでもない限り電子版がいいかもね。

 

first written 2018/06/09 ~ 2018/06/11

【目次】


【まえがき】

 THE BACK HORN考察っぽいレビュー、第二弾。
 
 今回のマイブームは『心臓オーケストラ』。
 私の名前の元になるほど一番好きな曲『夏草の揺れる丘』が入っていて、かつ、その尊さが何だったのか分からなくなるほどバクホン屈指のやばい曲の1つ『ディナー』が入っているアルバムである。
 今回もピンとくるものだけ触れようと思う。

 

【アルバム全体・書く前の感想と妄想】

 渦巻く狂気を体現したかのようなジャケットは個人的に『ブラックホールバースデイ』を思いだす。

 歌詞については収入を折半していた時代なのか、全ての楽曲の作詞作曲がTHE BACK HORN名義となっている。でもこの時期だから多分ほとんど栄純だと思う。一応楽曲の中で予想してみる。

 音楽的には、儚げだったり、懐かしかったり、妖艶だったり、胸を突き抜ける迫力だったり、犯罪的狂気だったりと兎に角いろんな色が存在していて、そしてその一つ一つを聴くたびに私の脳内の世界観をその曲色に染め上げるような強烈なインパクトをもたらす素晴らしい出来になっていると思う。
 要は文句の付けようがないと言うこと。

 

 さて、このアルバムは何を伝えようとしているか。深く考察に入る前に軽く考えてみる。
 まずタイトルの『心臓オーケストラ』。
 禍々しいジャケットにマッチするタイトルになっていると思う。また、このタイトルから私が連想できるのは命の鼓動で奏でる音楽達。

 ちなみにこのタイトルは少し前に発売されている『世界樹の下で』のC/W曲『サイレン』の歌詞で出てくる。
”今夜心臓のオーケストラさ 滅茶苦茶にタクトを振って”
 タイトルや流れを紐解くにはこれが関係してそう。
 余談だがタクトと言えば『運命複雑骨折』と『フロイデ』にも出てきた覚えがある。多分全部同じ意味合いかなぁ。

 

 次に流れの話。
 今回のアルバムは、『人間プログラム』や『太陽の中の生活』で見られた、まるで1つの物語を見ているような流れと違い、(例えばワタボウシ→ゲームの流れで分かるように)繋がりがあまりないように感じる。

 このことは上記のサイレンの歌詞”今夜心臓のオーケストラさ 滅茶苦茶にタクトを振って”の通りで「指揮者が生きるという意思を思うがままに滅茶苦茶に音楽という心臓の鼓動のオーケストラを奏でた」らこうなったという構成なのかなと考えた。
 ちょっと無理やりか。

 

 次は曲を読み解く前のこのアルバムのメッセージ性に軽くついて考えてみる。
 ということで、曲を一言で表してみた。
・ワタボウシ
  孤独
・ゲーム
  諦観からの疑問と提唱
・涙がこぼれたら
  目をそらす事への警鐘と人間関係の中の自分
・夏草の揺れる丘
  身の丈の応援歌
・マテリア
  一夜の恋
・ディナー
  少女監禁
・夕暮れ
  あの頃と今の比較と虚しさ
(・野生の太陽
  存在証明)
世界樹の下で
  散る命
・ぬくもり歌
  安寧からの旅立ち

 余談ですが、やっぱ一曲だけ異様なオーラを放ってますね。

 それにしても、うーん。
 いくつかに分類は出来そうだけど、なにか1つのメッセージと言われるとやはりわからない。
 ということでレビューしながら考えていこうと思う!
 (THE 行き当たりばったりだぜ)

 

【1曲ごとの考察・レビュー】

『ワタボウシ』

 まずタイトルから。
”夜の雪”
 という歌詞より、ワタボウシとは振り落ちる雪ではないかと思われる。

 また、
”夜の太陽 孤独の指揮者 世界は僕のもの”
 上記部分からこの曲の情景は、「誰もいない雪の降る場所に、独り街頭に照らされている主人公」という感じがする。
 そしてこの主人公は、
 ”朝はいらない”
 ”人は何故に夢を見るの あなたに会うために”
 ”しんしんとただ 時を忘れて 踊るワタボウシ”
 という歌詞から、「夢の世界にいて、あなた(=ワタボウシ)と永遠に過ごしていたいと願っているのだと思う。
 そういった意味で、私は「孤独」と表現した。
 
 しかし、歌詞を最後まで見てみるとこの孤独は覆されていると感じた。というのもこの孤独で現実を見たくない主人公に、ワタボウシはどうにかしたいという考えを持っていて、だから明日へ主人公を導くために”鮮やかなエンターテイメント”という”25時の奇跡”を演出した。
 
 そして、それを見た主人公は、ワタボウシの意図を確かに感じて、醒めなければいい夜に悲しみを覚えながら明日へ生きるための道を踏み出した。
 という物語かなぁと思った。

 
 この歌詞は栄純かなぁ。
 ”夜の太陽”とか”指揮者”とかの言葉が栄純エッセンスを感じる。
 
 私が好きな歌詞は、
”人は何故に夢を見るの あなたに会うために”
 (上で一応見解は述べたけれど、それ抜きにして)
 誰が問いかけ、誰が答えているのか。
 ここで指す”夢”とはどの次元のことなのか。
 そこら辺の妄想を掻き立ててとても好きです。

 音楽は、まるで粉雪が舞っているような幻想的世界が目に浮かぶくらいすごい出来だと思う。
 中でもこの曲は音の強弱が秀逸で、静かな部分では将司さんの高い透き通った声が、楽器陣が前に出てきたときは雪の舞い散る様子を表した綺麗なギターとドラム、そして夜の暗闇を表すようなベースが素晴らしい。そういった意味では綺麗な『8月の秘密』。
 光の音色の2段があればぜひ見たい曲の1つ。

 

『ゲーム』

 タイトルは歌詞にある様に単刀直入に
”人生はゲームなんかじゃない”
 から来ていると思われる。いや絶対そう。
 
 この曲は比較的わかりやすくって、例えば
”思考する魚”
”ゼッケン”
ゆりかごから墓場までずっと”
”電車の中”
 の部分について、おそらくこの”魚”はマグロのようなずっと走り続ければならない魚の事を指しており、主人公は自身や周りで電車に揺られる人々のことを「思考はするけど死ぬまで走り続けるだけの存在」と自嘲(もしくは揶揄)しているのだと思う。
 そして、そんな諦観を持ちながら、最後に残った心の残滓で
”このままでいい そんなわけねぇさ”
”耳を塞ぐなよ 同じ言葉話すお前よ”
 と自分を叱咤し、
”何がリアルだろう”
”走り続けていく 人生はゲームなんかじゃない”
 と自分の心の叫びに徐々に気付いていく。
 
 そして、帰り道に一人立ちすくんで
”叫んでやれ 生きていることを”
 と世界での自分の在り方を考えて生きていく事を決意した歌だと思う。
 最後の
”声がなくても 歌えるから”
 は生きることをあきらめる言い訳をするなという事だと感じた。例えば本当に声が出なくなっても、ギターだったり、踊りだったり、自分が生きていることを発信する手段はいくらでもあると思うから。
 

 好きな歌詞は
”叫んでやれ 生きてる事を”
 歌う度に「ああ、まだ生きててよかったんだ」って思えるいい歌詞。

 

 ここから余談。
 私は小説/アニメ*1の『氷菓』が大好きなのだが、この『氷菓』はこの曲の学生Verみたいものなのでおすすめである。私は小説を読んでる途中にこの曲を思い出して「叫ぶこと」への苦しさや葛藤に思わずわけのわからない涙が出た。

 

『涙がこぼれたら』

 タイトルは単刀直入に(ry
 
 シングルとして堂々と参戦。そして、シングルだからこそ詰まっている思いも多く、ある意味一つのテーマの核である曲だと思う。
 
 まずは音楽から。
 特徴的なイントロ、Aメロからストレートで熱いサビへと移り変わっていくバクホンにしては珍しく直球な曲。ライブ版の特殊イントロや将司さんの「Yeah!」も大好き。反面、とてつもなく喉に負担がかかる曲。サビのほとんどで張り上げ&がなりという驚異。特殊な訓練した人じゃなきゃこの歌い方をしていればまず間違いなく何年かでの喉を壊すので注意。だけれども、この初期特有の無鉄砲さを感じさせる命削って歌っている感じはサビのストレートさも相まってとにかく心に突き刺さる。カッコよすぎる。
 
 次に歌詞。
 これは雑踏を歩く主人公が、いくつかのぼろぼろな人生を見ながら、世の中の汚い部分への警鐘を歌い上げる曲だと思う。
 1つ目の人生は”路上で歌う男”。
 彼が歌っている歌は”「兵士の歌」”らしく、でもその叫びはすぐに雑踏に消えていった。一体「兵士の歌」がどんな曲なのかは分からないが、そのあとに続く
”胸の奥で張り裂けそうな
 想いはきっと 真実だろう”
 という事なので、彼の兵士としての切迫した感情がつづられた人生の歌だったのではないかと思う。
 
 その人生を見た主人公が思った事が
”胸が震え 涙がこぼれたら 伝えなくちゃいけない お前の言葉で”
 なんとなく、『ゲーム』の主人公とのつながりを感じなくもない。
 
 次の人生は”恋をしたストリッパー”
 人というのは自分より下の奴をいじめたくなるもので。そして、同時に「下というレッテル」を貼りたがるもので。
 そういった意味ではストリッパー(※R18)という職業柄、後ろ指す人というのは一般的常識(という名の偏見)からすれば少なくはないだろう。
 そんな彼女が恋をしてしまったのだ。
 そして彼女は恋の成就の為に今までの自分を変えようと努力するのだが…
 
 そのあとの歌詞
”歩き出した誰かの日々を 笑う奴等 風に消えろ”
 から察すればきっと彼女は一般的常識とかいうただの根拠不明の醜い塊に、「恋をしたという事実」を笑われてしまったのだろう。
 
 そんな彼女の人生を見て主人公は上記のような憤りを感じた。そして、”俺が俺である様に胸は鳴る”ように、誰かをただ何の偏見も持たずに見ることはできないのか、人は誰の為に人生を全うするのだろうと考えるのだ。
 
 そして、主人公が出したその問いへの答えは
”今夜生きる意味なんて知らねぇ 命がただ叫び出してる”
 だ。もういっそ清々しい位に単純だったのだ。

 おそらくこの主人公も何らかの悩みを抱えているから夜の雑踏を闊歩していて、最後
”走れ 夜が明けてしまう前に 伝えなくちゃいけない お前の言葉で”
 と悩みにケリをつけに行く。そういう物語だと思った。
 
 好きな歌詞は、
”歩き出した誰かの日々を 笑う奴等 風に消えろ”
 人が新しい事を始めることに地位や身分、理由なんていらないし、法律等のある程度の決まりの中のことであれば、それを罰することは誰にもできないと思うのだ。それこそ『ゲーム』で出てきた主人公が”俺の罪は俺が決める”と言ったように。
 
 歌詞は絶対栄純。
 てか、これの半分くらい史実な気がする。
 渋谷の路上で寝泊まりするぐらいの人だから絶対そう。


『夏草の揺れる丘』

 シングルより参戦 その2。
 シングルではありませんでした… 

 そして、私がTHE BACK HORNで一番好きな曲。
 好きすぎて、ギター/ベースは弾けるのはもちろん歌詞の暗譜/HNの元ネタにしているレベル。
 
 そして、この曲は『涙がこぼれたら』とは違った意味での根柢、つまりアルバムではなくTHE BACK HORNの根底が歌われている曲であると思う。
 
 それは後述するとして、 
 まず何が良いってまず音楽がべらぼうに良い!
 よく聴くか自分で弾いてみればわかるのだが、ギターもベースも好き勝手に暴れまわっているのにあり得ないくらいに調和している。特に間奏と歌が終わった後のフレーズたちが最高の一言である。曲中に祭囃子という言葉があるのだが、ほんとそのイメージがピッタリである。この部分弾くときはいつもライブでの栄純を思い出して、全力で体を動かしまわって弾いてる。
 ギターで一番好きな箇所は4:18あたりのハンマリング&プリング。
 ベースで一番好きな箇所は1:27あたりのグリッサンドからの和音。
 
 歌詞としてはこれも分かり易い方で、仕事で故郷を離れた主人公が仕事の疲れと共に帰郷してみると、懐かしく優しい街並みに、
”今夜 夢じゃない ここにいるよ”
”こんなにまっすぐに笑えるよ”
 と生きる気力を取り戻す歌であると思われる。

 

 でも、それとは別に、先述したようにTHE BACK HORNの根底にある想い達がちりばめられているとも思っている。
 例えば、約束。
”明日は分からぬのに 人は約束をする 

  いつかまた会う日まで 生きる意志なのだろう”

 

 THE BACK HORNでの「約束」は生きる意志なのだ。*2


 そして、これは最近の曲でも意味は変わっていなくって、例えば『孤独を繋いで』の
”また必ず会おうぜ 約束は一つだけ”
 という一節のように、ライブに来た皆とまた会う「約束」をする事によって、皆に間接的に「生きようぜ!」と言っているのだと思う。


 そして、もう一つのキーは「等身大」な歌詞。
”世界中の悲しみを 憂うなんて出来ねぇさ”
”せめて大事な人が 幸せであるように”
 そう、彼らは世界中を救いたいと思っているのだけれど、同時に救う事が出来ないという現実も分かっているのだ。『世界中に花束を』も『ミュージック』等の曲も一見すれば世界を憂いているのだが、実はそれらの憂いも理想だと分かっており、だからこそ誰かに寄り添えるような等身大の歌になっていて心の奥深くまでつき刺ささってくるのだと思う。

 そういった意味で、この曲は等身大な生きることを約束した最初の希望の歌、そして応援歌だと思う。

 

 好きな歌詞は全部。
 あえて挙げるなら上記2つの根底とサビ。
 
 歌詞は絶対栄純。

『マテリア』

 音楽については、最高の一言。
 マニアックヘブンのDVD見て一発で好きになった。イントロで一発で引き込まれる。
 そして、夏草と同じくギターとベースが勝手に動き回っているのだが、後半になるとベースとギターのユニゾンし始めるなど掛け合いが素敵。
 ギター単独で言うと、間奏とか所々に私の好きな感じのアルペジオがちりばめられていて好き。
 あと、本作は将司さんの妖艶な声がいい。エロい。そして、真似して歌うの楽しい。コツは一切の恥を捨ててこの主人公に成りきる事。友人のV系の人からウケがよかったので、そういう奴の前で全力で歌ってみてほしい。
 
 歌詞についてはこれも分かり易い。

 一言で述べたように「燃え上がる一晩の恋」の歌。
 内容だけで言えばそれだけだが、しかし、この曲の歌詞の言い回しが秀逸なのだ。
”テーブルに咲いた ワインの花 誘惑の香り”
”ああ 出会いという 運命の美しい鍵は 

 そう 愛の消えた心までも こじ開けてしまう”
 THE BACK HORNの曲は大体声に出して読みたい歌詞が多いのだが、これはその中でも個人的にTOP10くらいには入る曲だと思う。
 この後の曲と違い、人前で歌ってもまぁ問題ないし、どんな気分の時でも歌うと高揚するので、歌った回数もかなり多いと思う。体感7割で歌ってる。
 
 歌詞のリンクだよ!
 ぜひ、見てみて!(スパム風)

http://j-lyric.net/artist/a0006e4/l013b7e.html
 
 好きな歌詞は、
”あぁ 幸せなど そう永くは続くはずないわ”
”ねぇ 狂おしくて 愛おしくて 抱きしめてほしい”
”もう夢でもいい 嘘でもいい 今夜だけは”
 この悟ったような虚無と強烈な求愛はどこか初期スピッツに似てるなぁと思った。あっちは2人だけの閉ざされた世界はあっても、一夜限りなんてものはないけど。
 
 歌詞は大穴で松田さん、本命で栄純じゃないかなと思う。
 恋系はなんか松田さんのイメージ。水芭蕉とかね。だからもしかしたら合作かも。

 

『ディナー』

 THE BACK HORN狂気の曲 四天王の1人。いや、八天王くらいあるかも。
 歌ったら間違いなく引かれる。と思いきや案外引かれない。会社のカラオケで歌わされたときは終わったと思ったけどなぜか好評だった。私の周りは何かおかしい。というかJoySoundに入っている意味がよく分からない。ここら辺の曲は初期勢の方々が頑張ってカラオケに入れたという伝説を聞いたことがあるのだが、ほんとによく通ったものだと思う。そして、一体誰に需要があるのか…私はこの壊れて取り返しがつかない感じが楽しいからたまに歌うけど。その点DAMは英断だと思う。たまに「あー、ない!」ってなるけど。
 
 歌詞は単純。
 美少女を監禁して、勝手に○意が芽生えて、それをブルースとか言い出すやばい曲。

 誇張表現は一切してない。ほんとにヤバいの一言。*3

 
 というのはもうわかっているので、見えない部分に切り込んでいきたい。
 
 この主人公は狂気に満ちているけど、何気に判断力は鈍っていない。きっと表ではいい人で通ってる本物のサイコパス
 

 で、そう感じたのは歌詞の
”悲鳴のフルコース 諸行無常のメロディー”
 の部分。諸行無常ということは、主人公はこの状況が永遠に続かないと思っているという事。それは、いつかは自らも滅びるだろうと思っていることに他ならない。
 この後の歌詞、
”神と正義が殺し合う世界で”
 を見るにこの主人公も表世界では何らかのトラウマを抱えているのではないかと思われる。
 
 そしてそのトラウマは
”足りない 足りない 骨までしゃぶりつく”
 を見るに、過去、愛されなかった故の反動で愛に貪欲になったんじゃないかと思った。だからもしかしたら歌詞中の「汚物」は本物の汚物ではなく「自分」の事なんじゃないかなぁとも思った。
 まあ、そのトラウマの発散先が監禁はダメだけどね。

 

 「「文学的に」」好きな歌詞は
”もう帰れない 天井裏は宇宙さ”
”あぁ 白い蝶々 調教したい美少女”
 開幕、たったこの2文だけで聴く人を一瞬で戦慄させられるのは本当にすごい。こんなんマニアックヘブン以外でやったら大物だけど、なんかやってそうだよなぁこのバンド。 

 歌詞は栄純一択。
 この歌詞を栄純以外が書いたとかだったらもはや笑う。そうだったらその人にどんどん書いてほしいレベル。

 

『夕暮れ』

 「さっきの曲はどうしたんだ!?」って言うくらい純粋な甘酸っぱい青春の失恋歌。新海監督と「君の名は」の裏で活躍したあの有能なアドバイザーが作ったらいい感じのアニメーションPVができそう。てか偏見だけど、新海監督、RADWIMPS好きならこの曲好きになる気がする。

 名前が出たので紹介しておくと、新海監督は放っておけばTHE BACK HORNより救いのない映画作り出すので恐ろしい。THE BACK HORNの大体の曲は受け入れられたのに『秒速5センチメートル』はトラウマになった。
 

 閑話休題
 音楽としては、明るいけどどこか寂しさを感じさせる漢字が歌詞と相まって最高に良い。まさに夕暮れのイメージ。『光の結晶』も夕暮れ時ではあるけど、それとはまた違った色の青春だと思う。

 ギターと将司さんの切なげな張り上げ声が心を揺さぶる。とてもいい。
 

 歌詞は簡単かと思いきや案外難しい。
 簡単に説明すると元カップルの片割れがもう片方の面影を探したり追いかけたりして、会いたくなって情けなくなって、夕焼けの中、道端に転がって泣いた話。
 
 で、色々考えていく。まずカップルのどっちか。
”柔らかな その肌や 優しさも”
”俺達だけの秘密だった”
 のイメージから考えるに、男の方が主人公だと思われる。
 ただ、難しい所はこのカップルがどういう風に別れたのかがはっきりとは分からないところ。直接的に言うと、死別したのか純粋に別れたのかが分からない。
”交差点や駅のホーム お前がいるような気がした”

”忘れてしまうよ いつかきっと”
 を見ると死別してそうなのだけれど、


”星に願いをかけた夢さえ 信じることもできずに”

”綺麗になんか生きれねぇさと 唾を吐いて”
”純粋になりたかった”


 という所を見ると、自分が原因となって別れたようにも見える。まあ”会いたくなって”ってあるし、きっとただ単純な別れかな?
 
 そして、『マテリア』と同じく言葉選びが秀逸。『マテリア』は妖艶な綺麗さだったが、こっちは
”電車に乗る真昼頃 橙と青が交わって
 天国を作る時間がある 俺たちだけの秘密だった”

 の様にノスタルジックな感じの綺麗さとなっている。

 ちょっとした漫画みたいで面白い歌詞だから暇だったら見て!(スパム風)

http://j-lyric.net/artist/a0006e4/l013b80.html

 
(全然関係ないけどネットにはそこら中にリンクチェッカーみたいなのがあるので、こういうの踏む時はそういうツールを使って自衛がおすすめです。ほんとスパムには気を付けて。まあでもそういうツールにもウイルスあったりするけど…)
 
 好きな歌詞は上でノスタルジックな感じと紹介したやつ。”俺達だけの秘密だった”が、夕暮れ時に声をひそめて笑い合う学生のカップルを想起させて好き。

 あとは"会いたくなって 切なくなって 情けなくて泣けてきた 夕暮れ”。この心情と情景描写こそ青春って感じがする。一枚絵になりそう。

 

 歌詞は松田さんだと思う。こういうのはあの人の独壇場でしょ。

 

世界樹の下で』

 シングル第2弾。ここまでいっぱいシングルが入ってるアルバムも珍しいような、と思ったら意外と他のアルバムも3曲入ってるの多いのね。
 

 音楽として。
 とりあえずイントロのギター大好き。
 静かな感じからコードかき鳴らして、しばらくすると急に落ち着いてバクホン特有の変なコードのコードアルペジオが来る流れがとても好き。ギターをしばらくやってないけどいまだに大体ギターは弾けるくらいには好き。ベースから曲を好きになることが比較的多いのに、この曲のベースにはピンと来てないって事はあんまり目立ってないのかな?
 そんな感じ。
 
 歌詞。
 THE BACK HORNの1つのテーマ「死」を題材にした曲。『コバルトブルー』と同じく恐らく戦争もので、命が軽い世界観の中に生きる主人公には、
”ああ 僕らは作られた 自由を知らずに泳いでる”
”さあ 帰ろう むせかえる野バラと 讃美歌の降りそそぐ街へ”
 の様に現状への諦観と自棄っぱちさが見うけられる。
 
 ストーリーとしては正直よくわからない。
 世界樹が何なのかもよくわからないので、もしかしたらファンタジー寄りの内容なのかもしれない。
 そう考えると全力で妄想を膨らませれば分かる気がする。

 とりあえず世界設定として、世界樹(=星の命)をめぐる争いをしていて、主人公は世界樹を守る側の人間でありそう。そして、その使命として相手を殺すことに疑問を覚えている感じかな。
 だからこそ、
世界樹の下で若き兵士が 愛しきものを守るため
 殺し合うのは 美しい事だと 本当に言えるか”
 と言っているんだと思う。

 

 そして後述の
世界樹の下で 人を愛する気持ちを知った夜
 罪を犯して 触れたその場所から悲しみが溢れてた”
 は主人公が敵側の人に恋をしてしまって、「世界樹の下で逢いましょう」と言われて、ダメだと知りながらも恋心そして、「彼女なら大丈夫」と信じてしまって世界樹に案内したら、彼女が世界樹を破壊した感じかな?
 
 だからラスサビは
”青く燃えゆく 世界が最後の恋をしている”
”鼓動を早めて 星がいつかは命を貫き”
 みたいに星の崩壊を匂わせる言葉があって、そして最後に主人公の回想として、
”みんな幸せな星座になれたら”
 かな。

 

”本当は誰もが”
 と主人公が言い残したのは世界樹を壊した彼女も本当は主人公に恋をしていて、犯してしまった罪(主人公を裏切る事)の重さに耐えることができずに泣いていて、それを主人公が見たからこそ出てきた言葉かもしれない。

 

 好きな歌詞は ”本当は誰もが 思い描けるさ”

 多分「等身大の幸せな世界」。「等身大」と思うのは『涙がこぼれたら』のC/W『ガーデン』で「永遠の愛が降り注ぐ 平等で幸せな世界」をおそらく否定していたから。

 

 それにしても、ファンタジーな歌詞って珍しい気がする。珍しい気がするとか言いながら後述の『ぬくもり歌』もそう考えてるけど。
 作詞は、命の尊さとかそういったものを含めているから栄純な気がする。

 

『ぬくもり歌』

 アルバムの締めだけあって、ゆったりとしながらもどこか壮大さを感じさせる曲。
 
 初期勢には賛否両論あったらしいけど、私はかなり大好きな曲。
 
 音楽としては、ベースソロから始まる等、ベースがかなり目立っている。
 そして『生命線』の様に、徐々にメロディーが増えていく盛り上がりをみせていく系の曲。特に2番Aメロの歌とユニゾンしてるギターがエモい。間奏のベースとギターの掛け合いみたいなのもいい。最後のギタートレモロもいい。
 そして何より歌がいい。全体的に優しいのだが、後半、自分の使命を思い出した辺りからの切なげな張り上げのロングトーンがとても綺麗で好き。音程が高いうえに特殊な歌い方だから喉に滅茶苦茶ダメージを受けるけど。だからこそ、『夏草の揺れる丘』とこの曲はきっとこの先ライブでは、なにかの奇跡が起きない限り聴けないだろうなぁ。そういった意味であの時のアルバム再現ではこのアルバムが採用されて欲しかった…。でも、実際に聴いてたら興奮して倒れてたかもしれないからいいか。いやでも聴きたいな。今、マニアックヘブンVol6~11のセトリ確認してきたけど今年はワンチャンあったりしないかなぁ。(多分、夏草の方はストリングスの方で歌ってた記憶あるからもうない気がする)

 歌詞の話。

 これも世界観が難しい。
”段ボールの子猫 親は僕じゃない”
 という一節から考えるに、主人公は成人した猫?
 でも中盤で、
”ポケットしわくちゃの 出せないままの手紙”
 ってあるから何なのか分からない。
 

 ファンタジー路線を引っ張るなら、主人公は栄純がどこかで好きと言ってた記憶がある「ルドルフとイッパイアッテナ」のイッパイアッテナ的存在?
 分からない人向けに言うと、識字できるし人間社会のこともよくわかってる猫。あいつならポケット付いた服くらい着ること出来そうだしそういう存在かも。でも、イッパイアッテナ程完璧ではないからルドルフが成長した姿といった方が私の頭の中でしっくりくるかな。
 
 世界設定はガード下とかいう単語もあるし、現代っぽい所かな?

 そして、なんかよくわからない危険地帯がある。”行くな”と主人公に警句をくれる人物がいるのでそう思った。
 
 まあ、主人公や世界はそういう存在だと仮定すると、この曲の大きな流れは「君」が主人公を守るために、前述の危険地帯には「行くな」と警句をくれて、(おそらく代わりとして)そのままその危険地域に旅立ってしまっていて、主人公はその自分達を守ってくれているであろう「君」宛てに必死に手紙を書こうとしていた。

 でも怖くなって、なにも内容が思い付かなくって
”拝啓 僕は元気です”
 の一文だけを書いた手紙を抱えて、どこか自分と似ていると思った子猫と一緒に眠っていた。それはそれは心地の良い幸せ。でもその幸せの中でも、心のどこかで「君」の事は引っ掛かっていた。

 そして、夢のうつつの記憶の中で「君」が旅立った日がフラッシュバックして、どこかで逃げていた自分を思い出して
”目を覚まさなくちゃ 行くべきところがある
 失くせない想いを この胸に抱きながら”
 と、何ができるかは分からないけど、でも危険な場所にいる「君」の所に会いに行く、といった葛藤と成長の歌かな?

 勝手に考えたストーリだけれども、この主人公の決断が必ず状況を好転させるとは限らないリドルストーリーになっているのが素晴しいなと思った。

 まぁでも最後のギターの切なげなトレモロを聞くに、この何かを守ってる組織としては知らんけど、「主人公」と「君」の結末は例え死が待っていようとも、2人にとって満足した未来になったんじゃないかと思う。


 好きな歌詞は上記した“目を覚まさなくちゃ“の部分から全部。

 "失くせない想いを この胸に抱きながら"

 私はこういった溢れ出した想いに弱いのです。

 

歌詞は栄純かな?

これも本当に猫と寝たんじゃないかな? 流石に風評被害か。

 

【アルバム全体/書いた後の自分の思想】

・いつもの様にTHE BACK HORNのテーマ「生」や「死」、「葛藤」などの共通テーマはあったけれども、このアルバムとしての一貫したテーマ性というのは私には感じ取れなかった。難しいね。

 でもやっぱり『心臓オーケストラ』ではあると思う。様々な物語の「命の輝きを灯した鼓動を鳴らしたオーケストラ」。

 うん。やっぱりそれが私のこのアルバムへの答えかな。

 

【あとがき】

・見返してみたけれど、前回の記事(太陽の中の生活レビュー)よりもさらに妄想度合いが全開でしたね。最後らへん、ファンタジーとか言い出しましたからね。まぁTHE BACK HORNは1曲1曲にドラマ性があって楽しいから仕方ないです。「こういう捉え方もあるんだ」程度で見てください。

・基本、一曲を書いている間はずっとその曲リピートしているんですが、やっぱり何回聴いても色あせないですね。おそらくメンバーの葛藤から生まれた曲たちなのですが、生まれてきてくれてありがとうの気持ちでいっぱいです。

 ありがとう。

 

 

*1:小説版はアニメ絵からは考えられないほどヘビー。逆にアニメ版は原作の雰囲気を保ちつつも少し柔らかめな表現なので、アニメ→小説の順を推奨

*2:そこらへんは太宰の『葉』の最初の一節(青空文庫リンク)を感じる。栄純はああ見えてガチの哲学とか文学とかを知ってそうなので、こういうのが蓄積して出てきた言葉何じゃないかと思った

*3:これと『ジョーカー』は史実じゃないよって公言してたけど史実であってたまるか